コラム

「認定NPO法人Living in Peaceでのプロボノ経験」(駒田)

第二回AFCコラムでは、AFCメンバーの駒田が自身のNPOでのプロボノ活動を通じて得られた経験や、感じ取ったプロボノの魅力・意義についてインタビュー形式でご紹介します!

◆ どのようなプロボノ活動をしていますか?

認定NPO法人Living in Peace(以降、「LIP」)にて、会計担当理事としてプロボノ活動をしています。2012年からメンバーとして活動しているので、活動期間は3年以上になります。本業のほうでは、監査法人勤務を経た後に、現在は外資系金融機関の経理部で働いています。

LIPでは、「マイクロファイナンスプロジェクト」と「こどもプロジェクト(児童福祉施設支援) 」の2つのプロジェクトを事業として行っていますが、私は両方のプロジェクトを兼任しています。LIPのミッションは「すべての人にチャンスを」というもので、機会の平等を通じて国内外の貧困削減に取り組んでいます。
LIPが非常に特徴的なのは、「働きながら、社会を変える」というコンセプトで活動をしているということです。フルタイムの活動メンバーは1人もおらず、全員がパートタイムのプロボノメンバーで運営しているNPO法人となっています。メンバーは平日夜や週末の時間を使って、それぞれ可能な範囲で時間を割いて活動をしています。

◆ プロボノ活動をはじめたきっかけは何ですか?

かつて私が会計士受験生だった頃は、ちょうどビジネス雑誌等で「社会起業家」についての特集が多く組まれていた時期でした。受験勉強の合間にそのような雑誌を読みながら、合格後には何かしらアクションを起こそうということを、おぼろげに思っていました。

合格してしばらく経ったとある時期に、LIP代表の愼さんの著書「働きながら、社会を変える」に出会いました。その後実際にLIPのセミナーにも足を運んでみたところ、出会ったメンバーも良い方々でしたので、直感を信じて入会を決めました。

◆ プロボノ活動をしていてよかったことは何ですか?

LIPで活動しているメンバーの本業は、金融機関、IT、コンサル、起業家、弁護士、デザイナーなど非常に多岐に渡っています。このため例えば、本業ではなかなか触れることのないファンド組成やハンズオン支援の実務や、Webマーケティングなどにも触れることができ、週末に非常に知的で刺激の多い時間の過ごし方ができています。職業柄仕方がないところもあるのですが、会計士は時としてブレーキ思考にとどまってしまうこともあるように思えますが、このようなプロボノ活動での経験を通じて、自分自身の価値観や考え方にも多様性が出てきたと思います。

また、最近ではLIP以外でも、他のNPOや税理士・弁護士といった専門家による中間支援団体との交流も増えてきました。ソーシャルセクター(NPO業界)のプレーヤーの方々の多くは非常に高いミッション性を持っていて魅力的な方々が多く、また、課題解決のためにとてもイノベーティブかつポジティブに活動しているのを感じます。最近ではトップクラスのビジネスマンもソーシャルセクターに多く参入してきており、ソーシャルセクターの魅力は日ごとに上がってきているのを感じます。

これはまだ想像レベルではあるのですが、今後会計士の業務はAI(人工知能)による自動化が進んでいくと思いますが、人間ならではの活動がメインであるソーシャルセクターにはそのぶん大きな伸びしろがあり、何かしらの会計士だからこそ果たせる役割も出てくるのではと思っています。

◆ プロボノをこれから始める方へのメッセージはありますか?

プロボノの第一歩として、気軽に始める方や、真剣に始める方など、いろんな考え方があっていいのだと私は思っています。いま仕組みは色々と考案中ですが、Accountability for Change(以降、「AFC」)でも、そのようなニーズにこたえるチャンスを次第に提供できるようにしていきたいと思っています。

また、NPO法人には特有の会計および税務上の取扱があるので、最初はとっつきにくいところもあります。そして、プロボノを始めるにあたっての最初のマインドセットのところにも、「コツ」のようなものがあります。そのような疑問に答えられるような研修コンテンツもAFCでは用意していますので、是非とも利用してもらえれば思います。そもそもAFCというネットワークを我々がつくったのも、これまで個々が試行錯誤して失敗をたくさんしながらプロボノ活動を進めてきた道を歩かないように、という趣旨なのですから(笑)。このため、我々のこれまで積み重ねてきたノウハウを、今後プロボノを始める方々とも共有できたらとても嬉しいと思います。

会計士がプロボノとして関与できる領域としてまず大きいのは、寄付者をはじめとしたステークホルダーへのディスクロージャーや、事業計画に関連した予算策定などがあると思います。他にも、監事として、また、フロントプレーヤーとしての活躍も期待されていると思います。

個人的には、会計士試験に合格してすぐの方であっても、その学んできた知識というものは、NPO法人にとっては実は非常に価値があるものだと思います。仮に本業で使う場所が無かったとしても、実は大いにニーズがあり、実力を発揮する場所があるのです。このようなプロボノ活動を通じて、会計士の個々人が「社会に貢献する公認会計士」であることを実感して成長できればよいと思っています。