コラム

監査法人で働きながら、社会を変える

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■監査法人で働きながら、社会を変える

わたしは、監査法人で働きながら、平日の夜や土日を使ってプロボノ活動(※)を行っています

平日には監査法人で監査業務をし、平日の夜や土日に認定NPO法人 Living in Peace(以降、「LIP」)で会計担当理事(企業でいうCFO)として、決算や会計業務を担当しています。

LIPメンバーはわたしと同じように、全員が本業を持って、働きながらプロボノ活動を行っています。

モットーは、「働きながら、社会を変える」。

わたしたちは、自分の時間の5〜10%を使って、社会を変えることを目指しています。

※プロボノ活動とは、職務上の専門的な知識や経験、技能を、社会貢献のために無償もしくはわずかな報酬で提供するボランティア活動のこと。

■プロボノ活動を始めたきっかけ

監査法人に勤めて2年経った頃、「社会の役に立つことをしたい」と漠然と感じるようになりました。そんなとき、NPO法人二枚目の名刺が開催しているイベントに参加。そのイベントでは、様々なNPOの代表が団体についてのプレゼンを行うというものでした。わたしは代表たちの熱いプレゼンを聞いて、「自分が求めていたのはこれだ!」と思い、NPOの世界に飛び込んでいきました。

そして、AFC創設理事の五十嵐と出会い、AFCに参画。AFC代表の駒田に誘われて、LIPにも参画しました。

■会計士は会計だけではない。既存の考え方にとらわれず、興味があることに全力で取り組む。

1年半LIPに関わってきて、色々なことに取り組んできました。

もちろん、会計士のスキルを活かした決算業務、会計システム移行、内部監査なども行いました。

しかし、会計に関係なく、興味があるものについても全力で取り組みました

例えば、寄付者説明会やリクルートイベントの登壇など。

イベントの前は、「どうやったら聞いている人を惹きつけられるだろう」。そんなことばかり考えていました。

あるいは、LIPの理事就任。

NPOの経営者として、「どうすれば団体の価値をあげることができるのか」、「メンバーに最大限力を発揮してもらうためにはどうしたらいいのか」、などをいつも考えています。

このような経験を通じて、「会計士だから『会計』をやらなければならない」という考えに縛られなくなりました

なぜなら、会計士だって様々な分野で価値を出せる可能性があるためです。

もちろん会計や税務を極めていく人がいてもいいと思います。しかし、全員が全員そうである必要はない。

会計以外でも活躍できるところがあるのだから、興味があれば、まずは全力やってみることが大切だと思います。

■法人外で活動することで、自分が「会計士」であることを実感する

監査法人の中にいると、自分が会計士であることを実感することは少ないと思います。

なぜなら、周りはみんな会計士だから。

会計という言語も同じ、思考も同じ。

しかし、法人外に出て活動してみれば、自分が「会計士」であることを実感します

LIPでは、わたし以外会計士はほとんどいません。

コンサルタント、弁護士、ベンチャーキャピタリスト、ベンチャー勤務、商社勤務、銀行勤務、営業、Webマーケティング。

みんながそれぞれの思考法で議論します。

そのような中で揉まれていると、監査法人会計士の強み・弱みも見えてきます。

監査法人会計士の強みは、「組織を俯瞰できる目」を持っていることだと思います。

言い換えれば、組織のお金の流れや人を全体感を持って見ることで、より効果的に組織を運営するための目。

監査法人では、何社もクライアントを担当します。

クライアントの中の人ほど深くは理解できないけど、要点は抑えていく。

そのような経験によって、知らず知らずに「組織を俯瞰できる目」が鍛えられている。

組織運営する上で、そこが監査法人会計士の強さになりうると思います。

監査法人会計士の弱みは、営業力

「どのようにしたら、寄付者を集められるか」

そんなことは活動を始めた当初は、さっぱりわかりませんでした。

しかし、営業やWebマーケティングが得意な人と一緒に考えている内に、徐々にですがわかるようになってきました。まだまだ勉強は必要ですが。

このように、他の業種の人と切磋琢磨して、自分の強み・弱みに気づくことで、自分が「会計士」であることを日々実感しています

■最後に

プロボノ活動を始めて、よかったと思っています。

組織を運営するスキルやマインドセットも磨かれました。

同じ目標に向かって切磋琢磨する仲間も見つけました。

そして、プロボノで身につけたスキルやマインドセット等は本業でも活かされています。

会計士の皆さんは、仕事もプライベートも多忙だと思います。

でもちょっと頑張ってみて、自分の時間の5%を社会のために使ってみませんか?