コラム

「かものはしプロジェクトでのプロボノ経験」(佐竹)

kamo_nintei_logo_B

AFCメンバーの池山、佐竹が「かものはしプロジェクト」にプロボノとして参画しています。

◆ プロボノをやろうと思ったきっかけ(佐竹)

 学生時代にバングラデシュやフィリピンなどに渡航したときに、今まで見たことのなかった「貧困」を目の当たりにしました。そして、貧困に苦しむ人たちをより理解したいと思い、スラムや貧しい村を歩き、貧困層にいる人々がどういう生活をし、将来について・お金についてどう考えているか、聞いて回りました。

ごみ山から売れるものを必死に探している子ども、より多くの人から同情を得られるように親に目をつぶされ物乞いをする子ども、汚い池で体を洗う人たち、4畳の部屋に7人で暮らす家族。そこには日本とは別世界が広がっていました。それから、資本主義の勝ち組である先進国で暮らしている人たちは、途上国で貧困に苦しんでいる人たちのことを忘れてはならないと思うようになりました。

そんなときに、子どもの人身売買をなくすために活動している「かものはしプロジェクト」を知りました。人身売買の被害者の女の子は、村に住んでいることが多く、隣の家のおばさんに売られたり、都会に良い仕事があると騙されたりします。売られた女の子は売春宿で強制的に働かされることになります。無事売春宿から村に帰還できたとしても、「汚れた女の子」として扱われいじめを受けることになります。

実際に、バングラデシュの村に滞在していた私は、人身売買の問題の大きさ、被害者の多さを実感し、同じく問題意識を持っていた池山と共にプロボノとしての関与に手をあげました。私自身、プロボノ経験もなく、本業の経験もわずかしかありませんが、こんなに大きなチャンスはないと思いました。今では、このような機会に恵まれたことに非常に感謝しています。

◆ プロボノの魅力(佐竹)

プロボノの一番の魅力は、本業では経験できないことができることだと思います。本業では監査をやっていますが、監査では身につくことのできないスキルや経験を得られることは非常に貴重だと思います。今回のプロボノの場合、監査のように第3者としてではなく、NPOの一員のとして関わっています。当事者として関わる経験をすることで、本業においてもクライアントの立場に立って、物事を考えられるようになったと思います。これは、監査では絶対に経験できないことですが、監査に非常に活きる経験です。つまり、このようにプロボノの経験が本業にプラスに働くという可能性は非常に大きいと感じました。

◆ かものはしプロジェクト

「子どもが売られない世界をつくる」ために、子どもを買えてしまう環境、子どもを売らざるをえない状況に対し、以下の2つの取り組みをしているNPO法人。
2002年にカンボジアで活動を開始し、売らせない、買わせない取り組みを行いました。そして、2012年に世界でも人身売買被害が酷いといわれるインドで活動を開始しました。

1.子どもを買わせないための取り組み
子どもを売る売春宿や買う人が逮捕されれば、子どもが売られることは減るため、犯罪を摘発できる警察をつくるために取り組んでいます。

2.子どもを売らせないための取り組み
子どもが売られる大きな原因は貧困であり、大人に仕事を提供することで貧困からの脱却を支援しています。また、大人が安定した仕事を持つことで子どもも学校に行くことができ、売られるリスクも軽減することができます。

◆ プロボノチームの支援内容

2012年から活動を開始したインドでは、現地のNGOや財団、被害者団体とコンソーシアムを作り、かものはしプロジェクトは資金援助・マネジメントの役割を担っています。プロボノチームは、コンソーシアムで適用されるフィナンシャルポリシー(予算配分方針・予算管理方針などを記載)の策定の支援をしています。フィナンシャルポリシーを策定する主な目的は、①限られた資金を各団体に効率的にかつ公平に資金を配分すること、②コンソーシアムの安定的な運営などです。

プロボノチームの具体的な業務内容は、以下の通りです。
・類似事例(国際開発事業に関するフィナンシャルポリシー)の調査
・公平な予算配分を行うための仕組み作り
・安定した運営をするために、必要と考えるポリシーの洗い出し

◆ プロボノチームメンバー
・池山 允浩(AFCメンバー)
公認会計士で大手監査法人勤務。本業では主に、米国会計基準、IFRSを適用している企業の監査を担当。幅広く社会問題に興味を持ち、夢は、高齢者や子どもが安心して、幸せに暮らせる社会にすること。

・佐竹 亮(AFCメンバー)
公認会計士試験合格者で大手監査法人勤務。本業では主に、米国会計基準を適用している企業の監査に従事。バングラデシュ・フィリピンなどに滞在したときに途上国の貧困を目の当たりにしてから、貧困層にいる子どもを支援している。

・上原 優子(NPO会計税務専門家ネットワーク(NPO@PRO)メンバー)
NPO会計税務専門家ネットワーク監事。日本長期信用銀行、朝日アーサーアンダーセン、HSBC証券会社を経て、現在立命館アジア太平洋大学 国際経営学部助教。米国公認会計士。本プロジェクトへはアドバイザ-として参画。社会的課題に対し革新的進歩をもたらす活動への参加はライフワークとなっている。

・イスンジュン(Lee Seungjoon)
立命館アジア太平洋大学四回生。専門は財務会計。語学力を生かし、海外事例調査中心に本プロジェクトへ参画。現在、米国公認会計士資格取得を目指し、専門性を発揮しながら社会へ関与することを志している。